ローマ14章 信仰の自由と配慮(14:1-23)
背景
① 教会内の意見の違い
ローマの教会には、
- ユダヤ人信徒
- 異邦人信徒
の両方がいました。
そのため、食べ物や特定の日の扱いについて意見の違いが生じていました。
② 救いの本質ではない問題
パウロが扱っているのは、キリストの神性や福音そのもののような根本教理ではありません。
信仰生活の中での判断や習慣に関する問題です。
③ 自由と愛の緊張関係
ある人は自由に食べていました。
一方、ある人は良心のために制限していました。
パウロは、自由そのものよりも愛を優先するよう教えます。
④ 本章の中心テーマ
ローマ14章の主題は、「信仰の自由を持ちながらも、互いを受け入れ、愛によって歩みなさい」ということです。
ローマ14章は、多様性のある教会がどのように一致を保つべきかを教える重要な章です。
1. 弱い人を受け入れなさい(14:1-4)
① 弱い人を受け入れる
パウロは、
「信仰の弱い人を受け入れなさい」
と勧めます。
② 議論のためではない
受け入れる目的は、意見を戦わせるためではありません。
③ 食べる人と食べない人
ある人は何でも食べます。
ある人は野菜だけを食べます。
④ 互いに軽蔑しない
食べる人は食べない人を軽蔑してはなりません。
⑤ 互いに裁かない
食べない人は食べる人を裁いてはなりません。
⑥ 神が受け入れておられる
神が受け入れておられる人を、人間が退けることはできません。
教会の一致は、全員が同じ意見を持つことではなく、互いを受け入れることによって保たれます。
2. 主のために生きる(14:5-9)
① 日を重んじる人
ある人は特定の日を特別に考えます。
② すべての日を同じと考える人
別の人はすべての日を同じと考えます。
③ 確信を持つ
それぞれが自分の考えに確信を持つべきです。
④ 主のために行う
重要なのは、何をするかよりも誰のためにするかです。
⑤ 食べるのも主のため
食べる人も主のために食べます。
⑥ 食べないのも主のため
食べない人も主のために食べません。
⑦ 私たちは主のもの
有名な言葉が語られます。
「私たちは、生きるにしても主のために生き、死ぬにしても主のために死にます。」
信仰生活の中心は、自分の好みではなく主への献身です。
3. 互いを裁いてはならない(14:10-12)
① なぜ裁くのか
パウロは問いかけます。
「なぜ兄弟を裁くのですか。」
② 神のさばきの座
すべての人は神の御前に立つことになります。
③ 主が裁かれる
最終的な裁き主は神です。
④ すべてのひざ
すべての人が神の前にひざをかがめます。
⑤ すべての舌
すべての人が神を告白します。
⑥ 自分のことを申し開きする
一人ひとりが神に対して責任を負っています。
信徒は兄弟の裁判官ではありません。すべての人は神の前に立つのです。
4. 自由の用い方に注意しなさい(14:13-18)
① つまずきを置かない
パウロは、兄弟の前に障害物を置かないよう勧めます。
② 本来は清い
キリストにあって、食べ物そのものは本質的に汚れていません。
③ 良心への配慮
しかし相手が汚れていると考えるなら、その人にとっては問題になります。
④ 愛に反する行動
自由を主張して兄弟を傷つけるなら、それは愛による歩みではありません。
⑤ キリストが死なれた兄弟
その兄弟のためにもキリストは死なれました。
⑥ 神の国とは何か
有名な言葉が語られます。
「神の国は飲み食いではなく、義と平和と聖霊による喜びです。」
信仰の本質は外面的な規則ではなく、神との関係にあります。
5. 平和と徳を追い求める(14:19-23)
① 平和を追求する
信徒は平和を造る者であるべきです。
② 徳を高める
互いを建て上げることを目指します。
③ 食べ物で神の働きを壊さない
些細な問題で共同体を壊してはなりません。
④ 良心を尊重する
自分の確信は神の前で保つべきです。
⑤ 疑いながら行わない
確信がないまま行うことは危険です。
⑥ 信仰から出ていないもの
章は有名な言葉で終わります。
「信仰から出ていないことは、すべて罪です。」
行動の正しさだけでなく、それが信仰から出ているかが重要なのです。
神学的意味
① 教会には多様性があります
- 背景が異なり
- 習慣が異なり
- 良心の感じ方も異なります
神はその多様性の中で教会を建て上げておられます。
② 愛は自由よりも重要です
- 自由を持ちながら
- 自由を誇らず
- 愛のために用います
キリスト者の自由は自己中心のためではありません。
③ 神が受け入れた人を受け入れます
- 軽蔑せず
- 排除せず
- 愛をもって迎えます
互いの受容は福音の実です。
④ 裁きは神に属します
- 最終判断は神が行われます
- 私たちは兄弟を裁きません
- 謙遜に歩みます
神の前で自分自身を吟味することが大切です。
⑤ 神の国の本質は内面的です
- 義
- 平和
- 聖霊による喜び
これが神の国の本質です。
⑥ 信仰は良心と結び付いています
- 確信を持ち
- 信仰に基づき
- 神の前で行動します
信仰生活は内面的な誠実さを必要とします。
⑦ キリストとの関係
キリストは、
- すべての信徒の主
- 教会を一つにされるお方
- 兄弟のために死なれたお方
- 平和を与えてくださる救い主
です。
ローマ14章は、信仰の自由が自己主張のためではなく、兄弟姉妹を愛し、教会の一致を保つために用いられるべきことを教えています。
この箇所が私たちに語ること
① 神が受け入れてくださった人を私たちも受け入れる
ローマ14章でパウロは、食べ物や日の守り方について意見が異なる信徒たちを取り上げています。
その中で大切なのは、「自分と同じ考えを持っているか」ではなく、「神がその人を受け入れておられるか」です。
私たちも、自分との違いよりも、キリストにある兄弟姉妹であることを大切にする必要があります。
② 自由よりも愛を優先する
キリストにある自由は素晴らしい恵みです。
しかしその自由が誰かを傷つけたり、つまずかせたりするなら、その使い方を見直す必要があります。
聖書が求めているのは、自由の主張ではなく、愛による配慮です。
③ 私たちは主のために生きている
パウロは、
「生きるにしても主のために生き、死ぬにしても主のために死にます。」
と語ります。
信仰生活の中心は、自分の好みや考えではありません。
何をするにも主のために行うことが大切です。
④ 人を裁く前に神の前に立つ自分を覚える
私たちは他の人の行動や考えを評価したくなります。
しかし聖書は、最終的な裁き主は神であると教えています。
他人を裁く前に、自分自身も神の御前に立つ者であることを忘れてはなりません。
⑤ 教会の一致は小さな配慮によって守られる
教会の分裂は大きな問題だけで起こるのではありません。
小さな意見の違いや配慮の欠如から傷が生じることがあります。
だからこそ私たちは、自分が正しいかどうかだけではなく、相手を建て上げているかどうかを考える必要があります。
⑥ 神の国の本質を見失わない
パウロは、
「神の国は飲み食いではなく、義と平和と聖霊による喜びです。」
と語ります。
私たちは時として周辺的な問題に心を奪われます。
しかし神が大切にしておられるのは、義と平和と喜びに満ちた関係です。
⑦ 信仰から出る生き方を大切にする
この章は、
「信仰から出ていないことは、すべて罪です。」
という言葉で終わります。
行動そのものだけではなく、それが神への信頼と確信から出ているかが問われています。
私たちは人の目ではなく、神の前で誠実に歩むよう招かれています。
この章の中心メッセージ
信徒は信仰の自由を与えられていますが、その自由を愛と配慮をもって用いるよう求められています。
互いを裁くのではなく、受け入れ合い、平和と徳を高めることを優先しなければなりません。
ローマ14章は、教会の一致が同一性によってではなく、キリストにある愛と相互の尊重によって保たれることを教えています。
「ですから、私たちは平和に役立つことと、互いの徳を高めることを追い求めようではありませんか。」(ローマ14:19)

