エペソ4章 一致と成熟(4:1-32)
背景
① 教理から実践への転換
エペソ1〜3章では、
- 神の救いの計画
- 恵みによる救い
- 福音の奥義
が語られました。
4章からは、救われた者がどのように生きるべきかという実践的な教えに移ります。
② 教会生活の出発点
パウロはまず、教会の一致について語ります。
信仰生活は個人だけのものではなく、教会共同体の中で生きるものです。
③ 成熟した信徒への招き
神の目的は、信徒が成熟し、キリストに似た者となることです。
④ 本章の中心テーマ
エペソ4章の主題は、「教会の一致を保ち、キリストの成熟へ向かって成長しなさい」ということです。
エペソ4章は、神の恵みを受けた者が教会と日常生活の中でどのように歩むべきかを教えています。
1. 御霊による一致を保ちなさい(4:1-6)
① 召しにふさわしく歩む
パウロは、
「あなたがたは、召されたその召しにふさわしく歩みなさい。」
と勧めます。
② 謙遜と柔和
一致のためには、謙遜と柔和が必要です。
③ 忍耐と愛
互いに忍耐し、愛をもって受け入れます。
④ 一致を保つ
聖霊による一致を熱心に保つよう求められます。
⑤ 一つの体
教会は一つの体です。
⑥ 七つの一致
パウロは、
- 一つの体
- 一つの御霊
- 一つの望み
- 一人の主
- 一つの信仰
- 一つのバプテスマ
- 一人の神
を挙げます。
教会の一致は人間の努力によって作り出すものではなく、神が与えてくださった一致を保つことです。
2. 賜物による教会の成長(4:7-16)
① それぞれに与えられた恵み
キリストは一人ひとりに賜物を与えられました。
② 勝利されたキリスト
復活し昇天されたキリストは、ご自身の民に賜物を与えられました。
③ 教会への働き人
キリストは、
- 使徒
- 預言者
- 伝道者
- 牧師
- 教師
という役割を担う人々を教会に与えられました。
④ 聖徒を整える
その目的は、聖徒たちを奉仕のために整えることです。
⑤ キリストの体の建て上げ
教会全体が成長し、建て上げられていきます。
⑥ 成熟への歩み
信徒は幼子のままではなく、成熟へ向かうよう求められています。
⑦ 愛による成長
真理を愛のうちに語りながら、キリストに向かって成長します。
教会の成長とは人数だけではありません。キリストに似た者になる成熟が目的です。
3. 古い人を脱ぎ捨て、新しい人を着る(4:17-24)
① 異邦人の生き方に戻らない
パウロは以前の生き方に戻らないよう警告します。
② 暗くなった思い
神を知らない人々は、霊的な暗闇の中を歩んでいます。
③ 堕落した欲望
古い人は欲望によって腐敗していきます。
④ キリストを学んだ
信徒はキリストについて別の生き方を学びました。
⑤ 古い人を脱ぎ捨てる
以前の生き方を捨て去るよう求められています。
⑥ 新しくされる
心の霊によって新しくされます。
⑦ 新しい人を着る
神に似せて造られた新しい人を着るよう命じられています。
救いとは罪の赦しだけではなく、新しい人格へと変えられることでもあります。
4. 新しい人の具体的な生き方(4:25-32)
① 偽りを捨てる
互いに真実を語ります。
② 怒っても罪を犯さない
怒りに支配されてはなりません。
③ 正しく働く
盗む者はやめて、人を助けるために働きます。
④ 人を建て上げる言葉
有益な言葉を語るよう求められます。
⑤ 聖霊を悲しませない
罪によって神の御霊を悲しませてはなりません。
⑥ 悪を捨てる
- 苦い思い
- 憤り
- 怒り
- ののしり
を捨て去ります。
⑦ 赦し合う
互いに親切にし、赦し合います。
⑧ キリストの模範
神がキリストにあって赦してくださったように、私たちも赦します。
信仰は心の中だけに留まらず、人間関係や言葉遣いにも現れます。
神学的意味
① 教会の一致は神から与えられています
- 一つの主
- 一つの信仰
- 一つの御霊
に結ばれています。
信徒はその一致を守るよう召されています。
② 賜物は教会のためです
- 自分のためではなく
- 群れのために
- 教会を建て上げるためです
賜物は奉仕のために与えられています。
③ 神は成熟を求めておられます
- 幼子のままでなく
- 成長し
- キリストに似ること
が求められています。
④ 救われた者は新しく生きます
- 古い人を脱ぎ捨て
- 新しい人を着て
- 神に従います
信仰は生き方を変えます。
⑤ 愛と真理は共に必要です
- 真理だけでもなく
- 愛だけでもなく
- 愛のうちに真理を語ります
そのバランスが成熟した教会を築きます。
⑥ 聖霊は信徒の内に住んでおられます
- 導き
- 聖化し
- 成長させてくださいます
信徒は聖霊の働きに応答して歩みます。
⑦ キリストとの関係
キリストは、
- 教会のかしら
- 賜物を与えてくださるお方
- 新しい人の模範
- 教会を成熟へ導かれる主
です。
エペソ4章は、救われた者が教会の一致を保ちながら成長し、古い生き方を捨ててキリストに似た新しい歩みをするよう召されていることを教えています。
この箇所が私たちに語ること
① 教会の一致は守るべきものである
パウロは「一致を作り出しなさい」ではなく、
「御霊による一致を熱心に保ちなさい」
と語っています。
一致はすでに神が与えてくださった恵みです。
私たちは自分の意見や好みを優先するのではなく、その一致を守る者として歩むべきである。
② 神は一人ひとりに役割を与えておられる
教会には様々な賜物があります。
誰もが同じ働きをする必要はありません。
神は一人ひとりに異なる賜物を与え、それぞれを用いて教会を建て上げておられるのである。
③ 信仰は成熟へ向かう旅である
救いはゴールではなく出発点です。
神は私たちが霊的な幼子のまま留まることを望んでおられません。
キリストに似た者へと成長し続けることが信仰生活の目標である。
④ 愛のうちに真理を語ることが大切である
真理だけを語れば人を傷つけることがあります。
愛だけを語れば真理を失うことがあります。
神が求めておられるのは、
「愛のうちに真理を語る」
ことである。
成熟した信仰は、この両方を大切にする。
⑤ 救われた者は新しい人として生きるべきである
キリストを信じた者は、古い生き方に戻るよう召されてはいません。
神は私たちを新しい人として造り変えてくださっています。
日々の選択の中で、古い人を脱ぎ捨て、新しい人を着続けることが求められるのである。
⑥ 言葉は人を建て上げるために用いるべきである
パウロは有益な言葉を語るよう勧めています。
私たちの言葉は、
- 励ますことも
- 傷つけることも
- 建て上げることも
できます。
信徒の口からは、人に恵みを与える言葉が流れ出るべきである。
⑦ キリストに赦された者として赦すのである
私たちは人を赦すことで神に受け入れられるのではありません。
すでに神によって赦された者だからこそ赦すのです。
キリストの十字架を覚える時、赦しは義務ではなく恵みへの応答となるのである。
この章の中心メッセージ
信徒は神から与えられた一致を保ち、キリストの体として共に成長するよう召されています。
また、古い人を脱ぎ捨て、新しい人を着ることで、救いにふさわしい生き方を実践することが求められています。
エペソ4章は、教会の一致と信徒の成熟が、キリストにある新しい人生の重要な特徴であることを教えています。
「愛のうちに真理を語り、あらゆる点で成長し、かしらであるキリストに達するのです。」(エペソ4:15)

